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2009.04.20

ソードアートオンライン1 アインクラッド

2月に読んだ「アクセル・ワールド」の著者である川原礫氏がインターネット上で公開していたというものが本になるというので買ってみました。正直驚きました。最近、中当りが続いていましたが、コレは大当たりでした。のめり込み度でいったら五指に入るのではないかというくらいの作品でした。不幸なのは「クリスクロス」の名前を挙げずにはいられないことでしょうか。

お話の導入はフルダイブ型のヴァーチャルリアリティシステムが完成したという所から入るのですが、このインターフェースがフルフェイス型で、画面を見るのではなく直接脳に信号を送り、世界を構築するというもので、正に別世界のアバターを意思のみで操るというものです。しかも、操るというのは正しくなく、右手を挙げる、走る、などの日常動作を起す脳信号をフルフェースのインターフェースがインターセプトし、アバターに伝えるというものです。なので、感覚的には自分がアバターになって自由に動いている感覚なのです。それを利用したオンラインRPGが「ソードアートオンライン」なのです。そして事件はシステムオープンの初日に起きます。約一万人がアクセスした時、システムの生みの親である人物にログアウトできないことを告げられます。ログアウトするには100層あるステージを全てクリアすること。勿論脳命令は全てインターセプトされるので本物の体は指一本動かす事できません。そしてプレイヤーの死は=人体の死に繋がる事。あのインターフェースが電子レンジと化し脳を焼くのです。外部から強制的にインターフェースを排除することも=死に繋がると。2時間以上の回線切断や、10分以上の電源切断も同様に死をもたらすというのです。

この死の描き方が非常に巧妙で、死が賭かった場合に人はどのような行動をとるのか?という個人心理から、集団心理まで上手く描かれていて、読み手をドキドキさせます。そしてテンポが素晴らしくいいのです。初日に一方的な通告の後、いきなり一ヵ月後に飛びます。プレイヤーの成長過程など描きません。1万人のプレイヤーの動向だけを語るのです。そして更に二年後に飛びます。このあたりが非常に小気味いいのです。私ももうすぐ7年目となるオンラインゲームをほぼ毎日プレイしていますが、読んでいて共感できる部分も多く、もし自分に置き換えた時に生き残れるだろうかと考えてしまいます。感情移入というよりは没入感ですね。気がつくとハラハラドキドキしているのです。そして主人公であるキリトが。ヒロインであるアスナがお互いに護るべき者を見つける件などは羨ましくもあり、殺伐とした世界の中での読み手がホッと息を抜けるシーンでもあり、微笑ましいのですが、それが更なる緊張を生むのです。あと、食事のシステムも面白いですね。

と、ストーリー構成上はほぼ「クリスクロス」と似通ったものになります。但し、没入感は非常に高く、面白いという感覚では引けを取りません。当時、オンラインゲームですら夢だった時代にあそこまでの想像力で書かれたクリスクロスの秀逸さは脱帽モノですが、あれから15年経った現在、より進んだシステムの未来象を感じさせてくれました。今回のアクセルワールドの受賞に伴い、こうして紙媒体で出版された事に感謝です。恐らく、どんなに良い評判が耳に入ってきても、移動時間で小説を読むというスタイルの私では、Webで小説を読む気にはならなかったでしょうから。

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