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2010.07.19

5回目の宇宙ショーへようこそとちょっとした総括

 7/11。舛成監督のサイン会の後、ウキウキするココロのまま通算5回度目となる「宇宙ショーへようこそ」へ行ってきました。今回は初見となる友人を二人連れての鑑賞です。

 さて、鑑賞を終えた後、友人二人と酒を交えての「宇宙ショーへようこそ」語る会(笑)を行いました。やはり他者の意見というのは貴重なもので、考えもしなかった意見が飛び出します。好意的な意見も沢山聞かせてもらったのですが、その中でも今回特に不明瞭だった点として挙げられたのは

ネッポとマリーとポチの関係
でしょうか。映像を見る限りでは過去同じ題材で研究を共に行なっていた仲間として語られています。それが何故道を分つ事になったのかは、ポチとネッポの最終決着の時に語られた思想の違いという以外には明確には語られていません。推測としては古代ソンブレロ文字の研究においてペットスターの手がかりを掴んだネッポが、合成してでも弱いものを救うというペットスター(ペット大王)の意志に共感したのでしょう。しかしポチはそうではなかったといったところでしょうか?マリーが何故ネッポに付いて行ったのか?これは私の考えではありますが、ネッポの考えに共感したのはあるのでしょうが、恐らくネッポに付いて行ったのでしょう。(ポチではなく・・・。)道を分かつシーンについてはフラッシュバックでもいいから見せた方が良かったのではないかという意見も出ましたね。ただ、個人的にはこの辺は作品を見る上ではサラッと流しても問題はなく、むしろ大人の盲信した夢に周が巻き込まれたくらいの気持ちで観て良いと思います。

 この作品の主な内容として周と夏紀のわだかまり。旅の中での宇宙人との出会い。出会った者達の協力。そして別れ。5人のそれぞれの成長。というのがあると思います。その中でネッポとポチの物語も描かれる訳ですが、ここを描く必要があったのか?という意見も出ました。確かに物語は長いですが、ここを削ったとしても大した減少にはならないし、むしろポチとの繋がりを描いたことで物語の深みを増すという点では私は好きですね。ただ、その事で勧善懲悪では無くなってしまうので物語が曖昧な感じになっているようにも感じます。

宇宙ショーとは何だったのか?
 タイトルにもなっている「宇宙ショー」。作品上で語られているのはリアルタイムに宇宙中に生放送されている人気海賊番組です。観た限りで推測できる「宇宙ショー」の目的はズガーンの入手による合成生物を創り出す事でしょうか。「宇宙ショー」という娯楽を隠れ蓑にした情報収集と資金調達。ネッポの弱いものを救いたいという意志は決して悪いことではなく、むしろ尊重したいのですが(かといって合成までして救うのはどうかと思いますが)、その手段として関係ない者を拐い、強制労働させるなど、矛盾した行いをしてしまったことは過ちですね。

 で、タイトルの「へようこそ」何が一体ようこそだったのか?映画を観る前はこの作品自体、宇宙そのモノを宇宙ショーと例え、観ている観客に向けた「ようこそ」なのではないかと思っていたのですが、作品の中で固有名詞として「宇宙ショー」が登場します。そこで途端に分からなくなってしまいました。これは現時点で私の中では決着が付いていません。分かったときにでもまた書いてみたいと思います。

136分は長いか?
 長いです!(笑)個人的に少し退屈だなと思う箇所はあります。月からプラネットワンまでの道のりがそうなのですが(バイトのシーンも入れてもいいかな)ただ、ここは終盤の協力を得る為の大切な出会いを重ねるシーンでもあるので外すことは出来ません。また、個性的な星系を巡るシーンでもあり、監督の拘りも伝わってくるのですが、一回目、二回目はまだしもそれ以降になると少し退屈な部分でもあります。しかし、最終局面において辿ってきた道のり、出会ってきた人々が集結し、感動を生み出すのですから、現状出来上がったこのフィルムに対しては削るところなど無いというのが結論ではあるのですよね。(^^;

 友人的には冒頭の22分はキャラ紹介なので、もし複数回観るならここは退屈かもといった意見も出ました。

一般に広がりを見せない興行
 個人的にはこれから宇宙世紀が来ると信じ、その夢の姿を描いたこの作品は子供にとっても夢を与えるいい作品だと思うのです。特に地球に帰還した際に宇宙飛行士に興味をもつ康二なんかは正に視聴者の子供視点でそう感じて欲しいなと思う部分ではあります。が、なかなか広がりを見せない興行。職場で、家族で観に行ったという方にそれとなく意見を聞いてみたこともあるのですが、面白かったけど・・とパッとしない意見。実はこの五回目を観たときに、帰りのエレベーターでカップルが「これ、宇宙行かなくてもよかったよね」と、いう感想を述べているのも聞きました。ちょ!宇宙ショーってタイトルに付いてるじゃん!と突っ込みたくもなりましたが、これが現実なのだと受け止めるしか無い一言でした。確かに主軸に見える物語は周ちゃんと夏紀のわだかまりを解消するお話のように見えます。これを解決するのに宇宙は必要ありませんよね。残念なのはその裏で語られている様々な思いを受け取ってもらえなかったとうことでしょうか。

 ちなみに舛成孝二作品が大好きな私の視点でココがいいあそこがいいと言う度に、友人からはそれは舛成孝二作品の見方が解っているモノの見方だと散々言われました(^^;見れば見た分だけ理解が深まる作りをしているのは舛成監督の作品の特徴でもあるのですが、映画において二回、三回観に行くのは普通ではありません。そういう意味では映画というメディアに対しての作り方ではなかったのだろうなと言わざろう得ません。ただ、この作品は特別な見方をする人だけが楽しめる作品ではないと思うのです。(思いたい)未知の宇宙のシーンではワクワクするし、周が拐われた後に感じる絶望は本物です。そして周を助けに行くと決めた時の高揚も。旅の途中で出会った人達との再会と協力も燃えます。そしてなにより子供達の成長が見ていて気持ちがいいです。純粋に多くの人に見てもらいたと願って止みません。

 ちなみに何故公開が6月26日だったのか?もっと夏休みに合わせても良かったんじゃないか?と思ったこともありましたが、コレを書いている7月18日になってその理由が何となく分かりました。借りぐらしのアリエッティを含めた人気邦画のスケジュールを考えるとあそこしか無かったのだなと。アリエッティは昨日私も見に行きましたが、ジブリというネームバリューは偉大だなと思わせる盛況ぶりに羨ましさを感じずにいられませんでした。

 まぁそんな意見も出ましが、それだけ真剣に見てくれたことは純粋に嬉しいですね。ちなみに友人には概ね好評でした。

舛成監督ならではのさり気無く埋め込まれた情報量
 複数回観ると楽しめる。と、よく言われるこの作品ですが、埋め込まれた情報量は半端ではありません。過去「アキハバラ電脳組 2011年の夏休み」という映画にドハマリして一緒に観に行っていた友人だからこそでしょうか、一回目でありながら隙はなかったようです(笑)

 まず冒頭22分の何でもない日常を描いたシーンですが、ラジオ体操一つとっても夏紀の性格から周との関係や、家族構成とその関係等が分かるようになっています。その他の3人に対してもそうですね。康二の家のコスモスにしても家を見るだけでベランダから出ている大型の望遠鏡や、店の名前などからも康二の宇宙好きは親の影響であることが分かります。また、美術にしても澄んだ清涼な空気感でありながら大気を感じる書き込み。これは宇宙の真空のシーンでのクリア感と比較すると一目瞭然なのですが、そんなところにまで妥協を許さない舛成監督の拘りを十分に感じられる冒頭です。恐らく舛成監督作品が好きな人はこの冒頭が好きではない人は居ないんじゃないかと思えるほどのクオリティです(笑)

 月では早々にお金という共通の価値観を持った通貨の話題がでます。競争という形で日本円の価値に換算させるところなども何気なく視聴者に月での物価を感じさせます。人生金だよなんていうと夢も希望もないですが(笑)、共通の価値を見出すことで様々な宇宙人達が一緒に存在していることに妙な納得感を与えてくれます。

フレンドリーな宇宙感
 近年の宇宙を題材にした作品の多くは「宇宙は死と隣合わせの世界」である事を強く描いた作品が多いように思います。真剣に描くからこそのリアリティなのでその事はむしろ肯定なのですが、今回の宇宙ショーへようこそではとても近しいものとして宇宙を描いています。子供ならではの順応力もあるのでしょうが、外国人と接するかの如く普通にコミュニケーションしている様が違和感なく描かれているのも好印象です。これから宇宙人との交流を果たすかもしれない地球人としてこんな夢のある映像もいいのではないでしょうか。

だらしない大人とカッコイイ大人
 筆頭としてはポチですね。超特急のチケット代を稼ぐのにギャンブルでどうにかしようという姿勢は頂けません(笑)そして周がベビシッターで見ていたヤブー(緑の怪獣の様な子供)のパパ。子供を預けてギャンブルとはいい気なもんです。殴られるシーンをいれたのは世情を反映させたものなのかもしれませんが、それがポチというのはヤブーパパとしても納得はいかないところでしょう(笑)ポチはこの後もトニーに借金をしている事が分かりますし、父親に電話した時も即効で切られたことを考えると普段からお金に関しては相当ダメな人なのかもしれません(笑)ダメな大人を地で行っているポチですが、魅せるところは魅せます。だからこそカッコよさが引き立つのかもしれません。

ココロが高揚するシーン
 概ね初めは周の入月審査のシーンでしょうか。「宇宙人がきて頭を良くしてあげる。戦争も無くなってみんな幸せになると言われたら言うことを聞きますか?」というシーンですね。一番年下の周に答えさせるところにところにグっと来ます。ちなみに間違えた場合は宇宙迷子預かり所で地球が宇宙連盟に加入するまで預かりますとさらっと言われますが、これ滅茶苦茶怖いです(^^;

 「ヒーローが偉大なのは、勇気を持っているからだ」在り来りな台詞ではありますが、ここでの効果は絶大です。夏紀が何故今まで周に許してもらえなかったのか?見てるこちら側は歯がゆい思いを続けて来た訳ですが、それをポチに気付かされるシーンですね。この前のシーンでポチと三人組のカーチェイスを経てポチのヒーロー像が夏紀の中に芽生えたのが最大限に生かされるシーンでもあります。この後直ぐに周が拐われる事になるのですが、その際に青い光線と一緒に流れていたナレーションが夏紀がカッコイイと言っていた鉄仮面のものであるというのも何か意図を感じさせます。

 この後直ぐに訪れる周救出の決断シーン。清が年長者として地球に帰ることを決断しますが、年下の康二に正論をぶつけられます。ここで初めて清が本音を吐露します。観ているこちらも苦しくなるシーンです。そして夏紀が精一杯の勇気を振り絞って助けに行かなければならないと断言します。4人で円陣を組んでの「わからない!」のやり取りが希望に満ち溢れていてどうしようもなく高揚させられます。(もう私の顔は涙でぐちゃぐちゃです(笑))

 そして様々な協力者との再会と最終決戦!その中でもインクと康二の出会いはココロを熱くします。ペットスターの謎もここで繋がりますし、ちょっとした事故で閉じたはずの回線が開いてしまい、ネッポの企みと夏紀達の活躍が全宇宙に放送されてしまうという件も良いですね。夏紀がマリーによってペットスターへ突き落とされるシーンはスーパーマン宜しく地球人はペットスター上では能力が何倍にもなる事を示し、そこへ倉田さんの「ここでは私たちスーパーヒーローだから」の台詞が来るのです(笑)分かりやすい言葉を使った台詞周りの中でここぞというところでキメてくるのを聞いて、あぁ倉田さんだなぁとニヤリとしてしまいます(笑)ペット大王と夏紀の一騎打ちのシーンでは周が感じていたのと逆の視点で夏紀がペット大王にぶつけます。もうこのへんは考えるな、感じろの世界ですね(笑)そして最後のぴょん吉キックにほっと和むのです。(爆)

 そして畳み掛ける別れのシーン。残り30分で帰る為に宇宙中が協力してくれるシーン。間に合わないで5人で怒られても良かったのではないか?という意見も出ましたが、個人的には全宇宙が村川村小学校の5人の為だけに協力して一つになるというのはグッと来るので外せません。
 康二とインクの別れのシーンではインクが玉の涙を浮かべるだけでぐっと来ます。そして本物の手を差し出して握手を交わすのです。(あぁ書いてて泣きそう)
 そしてポチとの別れのシーン。周にキスをされて皆に抱きつかれるシーンは涙無しでは語れません。

 物語の最後に清涼感を与えてくれるのは宇宙から帰ってきた五人それぞれのコメントではないかと思うのです。分かりやすいところで言うと清ですが、自分の夢に自信が持てなかった清が一週間の旅を経て母親に夢を語れるようにまでなるシーンは熱くなります。
 康二も宇宙の知識を深めたいという気持ちはそのままあるのでしょうが、更に自分が宇宙へ出たいという気持ちが加わります。インクと康二の出会いと再会、そして別れは一つの物語を構成する程でした。是非インクと再会を果たして欲しいと思います。
 倫子は一番活躍して無いように思われますが、実は5人中で常に真ん中に立ってどちらにもフォローできるのは倫子だったのではないかと思うのです。特に夏紀にとって、普通に接することのできる倫子の存在は大きく、どちらも意識はしていないでしょうけど夏紀が一番助かっていたのではないかと思います。倫子としてはホンのチョットの勇気が持てれば自分の世界を大きく変える事が出来る子だと思うので最後の決戦で課題は達成しているといっていいでしょう。一歩踏み出したことによる宇宙中から得た喝采は忘れられないものになった事でしょう。
 そして夏紀は勇気の本当の意味を知り、怖さも知りました。夏紀はこれで十分です(笑) 周も伝えることの大切さを知りました。この二人の関係は最後のカットで自転車でしっかりとしがみつく周を見れただけで十分ですね^^

 私個人的な拘りとして地球に帰還した日の最後のカット。お月様を映してフェードアウトするシーンですね。「月はみてる」ココロ図書館好きな私としては何かを思わせるシーンです。^^

 本当にサラッとメイン所の話だけで流しましたが、その他にも一人ひとりのキャラがそれぞれ生きていて、それぞれの物語を感じさせてくれます。今回まだまだ語り尽せていないことが沢山ありますが、長くなりすぎなので今回はこのへんで。また気がノッたら書いてみたいと思います。

まとめ
 さて今回お酒を酌み交わしながら「宇宙ショーへようこそ」の話をした訳ですが、3時間くらいは話しましたかね。とても幸せな時間でした(笑)結局結論としてはどうしようもなく舛成孝二の作品であり、やっぱり私は好きだということですね(笑)本当は多くの人に見てもらいたいですが、こればかりは仕方がない。何かの拍子でブレイクすることを期待します。せめてブルーレイは出して欲しいですね。切にお願いします。

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