« 空を継ぐもの~覚醒遺伝子~ | トップページ | 借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展 »

2010.07.17

借りぐらしのアリエッティ

 観てきました。場所はMOVIXさいたま。こちらも一日2スクリーン回しのビップ待遇です。
 ジブリの映画は基本見に行くことにしているのですが、いつの頃からか純粋に楽しめなくなっていたというか、楽しくないというか。恐らく楽しかったなと思った最後の作品は「紅の豚」ではないでしょうか?あぁこれは面白いなと久々に思った「崖の上のポニョ」は世間的にはあまり評判が良くなかったというのも何となくすっきりしていない要因なのでしょう。そんな中、久しぶりに公開前から気になっていた作品がこの「借りぐらしのアリエッティ」です。公開前にイメージアルバムを買ったのは「魔女の宅急便」以来ですね。
 簡単にあらすじを説明しますと、小人の家族が縁の下で人間に気が付かれないようにひっそりと人間達の生活品から少しづつ借りながら暮らしています。一族のルールとして小人は人間に姿を見られたら引っ越さなくてはならないのです。それは種を保存する為の、滅びない為の掟です。そんな家へ手術前の療養ということで男の子が一時的にその家にやって来ました。しかし、血気盛んなアリエッティはその男の子に姿を見られてしまいます。そこで生まれる特別な気持ちと、その事で始まる家族への危機。アリエッティとその家族、そして少年の行末は・・・。といったお話です。

 序盤は小さなアリエッティから見た大きな人間の世界を思う存分描きます。普段見慣れた何でもない世界がスケールを変えただけでワクワクした世界に変わる興奮のようなものを十二分に味あわせてくれます。更にアリエッティ自身が初めての「借り」を行うということも手伝い心の部分でもワクワク感を演出します。それは観客側も同じで初めての「借りぐらし」の世界感に心ときめかせるのです。生活レベルも知恵も人間と変わらないと思わせる様々物が目に飛び込んできます。部屋の中一つとってもそうですし、糸巻きを利用した昇降機や、様々な小道具の数々。また、水の表現には驚かされました。なんでこんなにトロッとしているんだろう?と思ったら水が玉になろうとするその大きさがそうなのだと合点が行くと同時にこの世界を監督は観ているのか!と。
 しかしそのトキメキが一瞬で驚愕に変わります。借りの最中に人間の男の子:翔に見つかってしまうのです。しかも昼に見かけた時にやり過ごせたと思っていたのが実は見つかっていた事も判明し、幸せだった生活が脅かされる危機に陥ります。しばらく落ち込むアリエッティですが、責任感の強さと気の強さを思わせる瞳で男の子に対して関わらないで欲しいとお願いに行くのです。これはこの男の子にならとても有効な行動ではあったのでしょう。そういう意味ではアリエッティに見る目があったのか、ただ単に世間を知らなかっただけなのかと思いますが、これは両方なのでしょう。距離を取りながらも逢う数を重ねる度に理解を深める二人。この件はアリエッティにとってはやむを得ず発生した出来事ではありますが人と小人とが交流している様はこちら側としてはトキメキます。しかしその中で少年が辛辣な言葉を発します。「君たちは滅び行く種族なんだよ。」と。初めてTVCMを見たときに「えっ?」と思いました。そういうお話なの?と。同時に何故少年がそんなことを言わなければならなかったのかが知りたくなりました。確かに滅び行く種族であるというのは事実なのでしょう。しかし少年がわざわざそれを発したのは自分こそが死ぬ運命にあるからで、自暴自棄になっていた為の発言であることが直ぐに語られます。
 最終的にアリエッティ達家族は引っ越すことになるのですが、それは大人の事情だからとか、種族の掟だからとか、そういうどうしようもない大きなものに振り回された結果ではなく、アリエッティ自身がその決意を持って別れたことに大きな意味を持っているのではないかと思いました。翔自身もアリエッティとの出会いと別れを経て、一回り成長したのが分かります。滅び行く種族にとっての天敵はいつだって人間です。そんなことも語っていたのではないかなと思わせる作品でした。

 個人的にはこの手のもしかしたら自分もそんな体験ができるかもしれないという作品は大好物で、主軸が日常をリアルに描いている程、もしかしたらと思わせてくれます。この作品もそんな作品で、コンセプト的にはトトロと同じなのですよね。ただ、この作品はトトロ程派手ではなく、むしろ地味な作品であり、子供受けするかといえばどうかな?と言わざろう得ません。でも子供を連れてきたお父さんお母さんは大好きだろうなとも思ってしまいますw。
 何と行っても潜在的に観に行こうと思っている分母の数が違います。これがジブリのネームバリューだと思うと羨ましいという思うしか無いですね。「マイマイ新子と千年の魔法」にしろ「宇宙ショーへようこそ」にしろ全然負けてないのに、そこは残念としか言えません。賞という分かりやすい形で評価されないとダメなのでしょうね。そんなことも思った今回の映画でした。

|

« 空を継ぐもの~覚醒遺伝子~ | トップページ | 借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展 »

アニメ」カテゴリの記事

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/521178/48899912

この記事へのトラックバック一覧です: 借りぐらしのアリエッティ:

» 映画「借りぐらしのアリエッティ」童話の本を開いてみると [soramove]
「借りぐらしのアリエッティ」★★★★ 志田未来、神木隆之介、大竹しのぶ、竹下景子、三浦友和、樹木希林 声の出演 米林宏昌監督、94分 、2010年7月17日公開、2010,日本,東宝 (原題:原作・床下の小人たち )                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい← 「ジブリ作品は最初から高いハードルが目の前にあり、 見る側もそれ相当の「何か」を求めて劇場へ行く、 いまひとつ、という感想を聞いてい... [続きを読む]

受信: 2010.08.03 21:01

« 空を継ぐもの~覚醒遺伝子~ | トップページ | 借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展 »