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2010.07.15

空を継ぐもの~覚醒遺伝子~

 眠り病:眠りに就いて目覚めることは無く、半年以内に骨の暴走を起こして死に至る原因も治療法も見つかっていない奇病。この奇病で眠り続けた少女の病室から物語りははじまります。但し、この少女だけは他の患者とは違い、生まれて直ぐに発病し、以後10年間、唯一骨の暴走を起こさずに眠り続けている少女。この少女と主人公である月雄の出会いは夢の中でした。毎夜毎夜眠り続ける少女が現れては空から舞い落ちてくる白い羽に埋もれて目が覚めるという夢。ところがある日、夢の中の少女が目を覚まします。そして現実世界では幼馴染が発病し、そして月雄は幼馴染を見舞いに行った病院で夢の少女と出会います。そしてこの街の発病率は日に日に増加する一方。それとは別に有翼人の話が出てくるのですが、これが眠り病とリンクします。そして目覚めた少女の背中に翼を思わせる骨の暴走が・・・・。

 序盤の情報の公開具合と話を進めて行くにつれてそれらがリンクして行く様はとても気持ちが良いです。余り奇をてらわずに開示された情報の中で順に回収されていく様も美しいです。序盤と言ったのはそのタイミングも含めて序盤にそれらが集中したからです。特にツェツェの覚醒から、幼馴染発病。その直後のリアルでのツェツェとの対面。と、目まぐるしく物語が展開していく様は小気味良いです。
 また、父が医者だった為に医者を嫌い、将来に何の希望も感慨すらも抱いていなかった少年が、ツェツェの居場所を作る為に医者に成る事を決意する件も好きなところで、歩き出す。前に進む。成長する。月雄の成長物語でもあるのが感じられるのも好ましいです。幼馴染の女の子には可愛そうですが、何とも思っていないところが私にとっては好印象。幼馴染の発病はそれとして、事実としてだけ捕らえ、意識はあくまでもツェツェに向いている。結果的に幼馴染も救うことになりますが、これはツェツェの為に成した成果の過程でしかないという所がストイックで好みです。
 ツェツェが飛び去った後、月雄が事を成す迄の長さに比例してツェツェの孤独と人類に対する愛情を感じるのも切なさを演出しています。そしてエピローグへ。ハッピーエンドが約束されていたので飛び去ってからの数十ページは穏やかに読めました。
 但し唯一気持ちが悪いなと思ったのは翼を捜す者の存在でしょうか。恐らく有翼人種の記憶を覚醒させた者達なのだとは思うのですが、登場も引き下がり方も曖昧で、ただ在るというだけで何も明かされないまま、それこそツェツェとの接触も無いまま終わります。そこだけが喉に魚の小骨が引っかかっているような違和感を感じます。続きは無いと信じていますが、さてどうでしょう?
 

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