« 笑わない科学者と神解きの魔法使い | トップページ | 空色パンデミック③ »

2010.09.03

“文学少女”見習いの、卒業。

 とうとう終わってしまいました。本編が終了した時と同等、もしくはそれ以上の喪失感です。毎回、狂気といってもおかしくない程の重く苦しい程の切なさを描き、でも最後には心の隅がぽっと暖かくなる、でも決して切なさは消え去らなくて、暖かさと共に同居するような感覚を残してくれるこのシリーズ。こうして二回目の終わりに立会い、改めて好きだったのだなと実感。というよりはいつの間にこのシリーズの事をこんなにも愛おしく思うようになっていたのだろうか?と気づかされた感じでしょうか。
 今回のシリーズの主役である菜乃ちゃんの成長は目覚しいですね。この娘の存在に救われた人物の多いこと。琴吹さんなんかは最たるものですが、でも菜乃の存在に一番救われたのはきっと心葉なのでしょうね。この巻でも心葉が「空に似ている」と真正面から対峙し、受け入れるシーンがあり、ドキリとさせられました。遠子先輩にも出来なかった事で、これは菜乃ちゃんだからこそ成し得たのだなとストンと心に落ちてきました。正直で、まっすぐで、嘘をつけなくて、困っている人を放っておけなくて、だからこそ傷つきもするし、打ちのめされる事もあるけれど、誰もが菜乃を嫌いにはなれない。今回の話の中でもとても大切な親友を送り出すシーンで"行っちゃ嫌だ"と何度も何度も何度も繰り返した後に"でもそれで幸せになるなら行ってもいいよ"というところは真っ直ぐで嘘のない菜乃らしいと感じます。そして最後に心葉先輩の前で木にリボンを結ぶシーンでは本来の真っ正直な菜乃と、一年間心葉と過ごしたからこそあった成長がそのまま花開くかのような清々しくも切なく、けれど未来へ踏み出す一歩を見せてくれる終わりにこれまでにない満足感を満たしてくれました。物語は終わってしまいましたが、菜乃や心葉など、この作品の全ての人物の未来を感じられました。同時に新しいシリーズへ向ける作者の気持ちとも受け取りました。しばらくは挿話集などでこの文学少女シリーズは続くそうですが、今後始まるであろう異なる作品にも期待が膨らみます。

|

« 笑わない科学者と神解きの魔法使い | トップページ | 空色パンデミック③ »

小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/521178/49347540

この記事へのトラックバック一覧です: “文学少女”見習いの、卒業。:

« 笑わない科学者と神解きの魔法使い | トップページ | 空色パンデミック③ »