図書館迷宮と断章の姫君3
まさかの最終巻です。イクミの断章が揃うまで王国軍といざこざを繰り返しLLLの黒幕を小出しにすると思っていたのですが、一気に方が着いてしまいました。しかも王国軍の復讐心すら根本から昇華させてしまった上に、諸悪の根源は武力によってではなく悪事を白日の下に晒され、法によって裁かれるという大団円。潔さすら感じさせます。
ウィザードリー感が感じ取れるダンジョン探索シーンが好きだったこのシリーズですが、話が進む毎にダンジョン探索よりも王国軍の企みの阻止等のストーリーや、キャラクターが増える毎に強くなるハーレム色に作品のイメージを奪われた感はありますが、それでも最後まで楽しく読めたのはイクミの信念の元に断章を収集するという軸がぶれなかったからでしょう。特に書物であり、生み出された目的以外の生き方が出来ないと思い悩むイクミが抜けているページの変わりにある白紙を使ってたどたどしいながらも自ら書を記し、人生を切り開く為の一歩を踏み出すシーンはぐっと熱くなります。このシーンがあったからこそ最終巻として満足できたのだと思います。
近年読んだ中では短いシリーズでしたが、満足度は高かった一作でした。
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