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2011.01.06

“文学少女”と恋する挿話集4

 店頭で見つけてはやる気持ちを抑えて手にとってまず思ったのは「また会える」でした。初めの頃は間違いなく読むのを躊躇する部類の作品だったのに(沈む内容が多く、苦しい時に読むと沈むのです)、何時からでしょうか?こんなに求め、愛おしく思うようになったのは。一冊一冊の積み重ねによるものは確実にあると思います。明確に覚えているのは本編が完結を迎えた時、幸せな気分と共に喪失感もあった事。挿話集が出た時にとても嬉しかった事。見習いシリーズが出た時も登場しないあの文学少女の面影を常に追っていたような気がします。面白いもので登場しないと自分の中で遠子先輩がどんどん美化されていくのですよねw今回久しぶりに挿話集にて遠子先輩と対面し、あぁこんな感じのはっちゃけた娘だった(笑)と思い出すのです。

 さて、今回四冊目になる挿話集ですが、総数13本もの短編が収録されており、いつもの意味深な冒頭は今回は遠子先輩の語りで始まります。一頁つかった語り「この狭い門のの向こうで、わたしとあなたが、一人で歩ける大人になったとき。そうしたら話してあげる。」の後、頁をめくるとたった一行「わたしが、どれだけあなたに恋していたか。」で締め括られます。もぅ私的にはこの時点でかなりテンションが上がりまくりです。

 意外だったのは自称文学少女見習いとこ菜乃ちゃんの話が含まれていたことでしょうか。先日見習いシリーズが完結を向えたばかりで、確かに考えてみるとこの娘にもこういう形でしかもう会えないのだなと思い至るのですが、今回振ってきた話題がよりにもよって銀河鉄道の夜なのですw本編で美羽とも遠子とも繋がりの深いあの作品をここで菜乃に語らせる秀逸さに脱帽です。

 今回の短編で特に印象深かったのが「“文学少女”と幸福な子供」です。心葉が登校の途中で見てしまった鳥の死骸を美羽に重ねてしまい停滞してしまう話で、悲しみを知る事は大切な事であると遠子先輩から教えられる話です。この話を読み、今この物語達を楽しんで読めるのも本編を辿ってきたからなのだと。活字で書かれた文章の何倍もの情報量で受け取ってしまうのです。ちょっとした仕草の描写でもあの事を思っての表情だとかそういうのを感じてしまえる積み重ね。そんな事を感じました。

 特筆したいのが「美羽~戸惑いながら一歩ずつ」です。美羽のその後の話なのですが、正直美羽の狂気を垣間見てどうしても一歩引いて見てしまう彼女ですが、今回の話で綺麗さっぱりとシコリが取れましたw美羽がこれ程可愛く思える日が来ようとはといった感じですw今回の収録の中でもピカ一の可愛い話です。苦手意識のあった琴吹さんが可愛くてたまらなくなったのと同等の衝撃を受けましたw

 そしてこの挿話集を語るのにどうしても外せないのが「不機嫌な私と檸檬の君」です。本編中では「お兄ちゃん遊んで」しか言わなかった心葉の妹の舞花がなんと中学生に成長!そんなある日、クラスメイトとの恋話で話をふられ、慌ててついた嘘から発展してしまうお話です。異性といえば兄である心葉以外眼中に無い舞花だったのですが、クラスメイトの暴走により嘘だったと言い出せなくなり、次第に気になる存在に・・・というもの。最後は切なさを残す結果となるのですが、それがまたこの物語のキーとなっている檸檬のような爽やかな切なさで、舞花の人としても女性としても成長が伺えるエピソードで今回収録の物語の中でも好きな物語です。

 その他、琴吹さんの就職後のお話や、もう一人の蛍(なんと、麻貴の娘ですw)の話など、笑いたくなる話や、切ない話や、考え深い話などなど紹介しきれない程のボリュームです。

 今回の挿話集でOVA付属のもの以外、殆どの短編をかき集めたそうで、その事自体はとても嬉しいのですが、ここで一言問いたいのです。原作である小説から好きになった者として、OVAを購入しない(したくない)という選択肢は悪ではないはず。しかし野村美月さんの生み出した文学少女としての作品は読みたいのです。そしてそれだけの為にOVAを購入する事を己が許さないのです。作家としてこの事実をどう受け止めているのか?っていうかほとぼりが冷めたころでいいので一冊にまとめてくれることを切望!是非お願いします。

 回を重ねる毎に魅力的にキャラが育っていくこのシリーズですが、次巻が最後だそうです。今度は新人作家の担当編集になった遠子さんのお話だそうで。この話でシリーズを終えることは決めていたそうです。楽しみである反面それ以上に終わってしまう事の寂しさを感じています。せめて挿話集は年に1回とかでいいので出し続けてくれないかな?とか。まぁ何はともあれ、出てくる物をまずは素直に受け止めてから色々考えようかと思います。

<脳内キャスト>
舞花(14歳):米澤円
※脳内でも遠子先輩は花澤香菜で定着しつつあります(^^;

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