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2011.02.23

神様のパズル

 第3回小松左京賞受賞作品。友人の薦めで読む事になったのですが、「人は宇宙を創れるのか?」一言で言ってしまうとそんな作品です。卒業が危ぶまれる冴えない大学生綿貫基一。卒業がかかっているというのに意中の女性目当てで物理のゼミを専攻しまうというダメっぷり。その教授である鳩村に頼まれごとをされ、点数稼ぎで仕方なく引き受けるのだが、その頼みごとというのが16歳の天才大学生穂瑞沙羅華の復学だった。彼女は天才であるがゆえに大学の授業では分からない事はない。時間の無駄である。と、そういった感じで周りの事に興味を示さなかったのだが、ある日宇宙が無から出来たと言うのは本当なのか?自分と言う存在は何なのか?と悩む老人に出会い、それがきっかけで穂瑞がその話に乗ってくるのである。そしてゼミで「人は宇宙を創れるか?」というディベートを行う事になるのだが・・・。 と、まぁ触りはこんな感じです。

 物語の中で生徒が一人づつ宇宙を創る為に必要な物理の基礎を発表という形式で説明していくのですが、物理を詳しく知らない私でも物語を理解するうえで問題の無いレベルまで説明しているのにそれがくどくなく自然に読ませてしまうのは上手いなと素直に感心させられます。そして未だ解かれていないという最終定理についても作中で穂瑞が打ち立てるのですが、何となくこれで合ってるんじゃないの?と思わせる納得感wフィクションではあるのですが、物理を全く知らない人に対して物理ってこんなのだよってざっくり説明するのにはこの作品を読んでもらうと良いかもしれませんw
 しかし、この物語は読み手をなかなか引き付けてくないのです。フォーマットが綿貫の日記という形で語られているので、まず綿貫がテンション上げないと盛り上がらないのですが、この綿貫のテンションと来たら常に地べたを這いずっているかのようなローテンションなのです。途中いくつもイベントは発生するのですが、全く変わらないテンションに。読み手もテンションも上がる訳が無く、淡々と読み進めるという感じになってしまい、実際私が引き込まれたのはラストのラスト。穂瑞が”むげん”を使って何かをやらかした時にやっとでした。内容は面白いのに、物語の進め方で損をしているなと感じがしました。しかし、物語の終わり方は私のとても好きな展開で、結局の所宇宙を創れるほどの真理を追求した結果得たものは人としての日常だったという。穂瑞に関しては大学を中退し、高校生からやり直すという件がとても好きです。人生のやり直しが利く年齢設定の秀逸さににんまりです。終わりよければというつもりはありませんが、まぁ総じて面白い作品ではあるなと。

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