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2011.05.13

半熟作家と“文学少女”な編集者

 とうとうシリーズ最終巻です。この作品、他の作品よりも思い入れが強かったせいかとても感慨深いというか、何と言うか、とにかくこの感覚で最終巻を迎えることの出来た作品は過去においても稀で、こういった作品に出会えたことが人生においての財産であると思う訳です。

 さて、今回の内容はといいますと、タイトルの通り未熟な作家と編集者のお話で、編集者は勿論社会人になった遠子先輩です。一方作家の方はといいますと、現役高校生でデビュー二年目。とにかく高飛車で、読者のことなど屁とも思っていないようなとにかく鼻持ちならない奴で、余りに酷すぎて笑ってしまう程ですwだた、デビュー自体が井上ミウの二匹目のどじょう狙いで受賞したと言われ続けたという経緯があるのは少々気の毒ではあるといった所でしょうか。この作家が遠子さんと出会い、少しづつ作家として、むしろ人として成長していくという内容です。
 途中から過去の初恋の思い出がダブり、そうでなくとも有望な作家には献身的な遠子さんですから当然の流れというか遠子さんに恋をしてしまう訳ですが、その裏に見え隠れする彼氏の存在と、比べ続けられてきた井上ミウの影がちらほらと見え隠れする当たりがこれまでシリーズを通して読んできた読者にとっては全くもってたまらない訳ですwこの辺は物語の旨みそのものでもあるので細かくは語りません(我慢w)ので是非自らの目で読んで楽しんで頂きたいところです。そして、物語の最後に快斗が遠子さんに初恋の文学少女の影を追うことになった司書さんの正体につい笑みがこぼれてしまうことでしょうw
 今回読んでいて思ったのは、主人公が未熟であるからこそ物語は進むのだなということ。これを思ったときに、もう作家としての心葉の物語は完結したのだなという少し寂しくもあり、嬉しくもあり。今後心葉のはなしがあるとすれば作家としての井上ミウではなく、遠子さんのつれとしての心葉なのかなと。ただ、ただの恋愛話を文学少女でやる意味はないですからね。(でも知りたいぞw)
 細かくは語らないと言いましたが最後に見所を一箇所だけ。終盤に快斗が遠子さんの髪を三つ編みさせてもらうシーンがあるのですが、これがまた美しいのです。たっぷり3ページに渡り描写されたこのシーンは快斗が生まれ変わる為の儀式であり、今回最も好きなシーンでもあります。
 読み始めでは指差して笑っていた主人公ですが、章を負う事に読み手との距離を縮めていき、最後には遠子さんではなく彼が物語をしっかりと締め、更にキュンとする暖かさまで残してくれたのは見事でした。不思議と寂しさは無いのです。恐らく本編が終了してからここ迄たっぷりと時間を掛けて外伝的な形で続けてくれたおかげなのでしょう。また、ここ迄語ってくれた中で愛すべき登場キャラクターが皆それぞれの幸せを掴んでいる事を語ってくれたからだとも思うのです。著者の野村美月さんに“お疲れさまでした”の一言を送るのと同じレベルで幸せを掴んだキャラ達に“良かったね。おめでとう。”と伝えたい気持ちになるのは、それだけキャラクターが息づいているということなのでしょうね。 次回作も期待しています。と、言ったそばから5月30日に再び竹岡美穂さんとのコンビで新シリーズが発売されるそうでwタイトルは「“葵”ヒカルが地球にいたころ」で、このヒカルと今回の半熟作家に付いている応募券でコラボSSが全員プレゼントというのですからこれは贈らない手はありません。
 あと最後に一言。OVAに付いていたSSは何かの形で文庫化される事を切に願います。原作ファンとしてはやはりビデオに小説が付くというのは許容し難く、小説として読みたいのです。いつか叶うことを願いつつ。ステキな作品をありがとうございました。

過去作品感想
〝文学少女〟と恋する挿話集4
〝文学少女〟見習いの、卒業。
〝文学少女〟と恋する挿話集3
〝文学少女〟見習いの、傷心。
〝文学少女〟と恋する挿話集2
〝文学少女〟見習いの、初戀(はつこい)
文学少女シリーズ本編完結

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