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2012.01.17

真夏の日の夢

 大学の演劇のサークル。とはいっても他校の参加も可能なそこそこ名の売れた劇団。その劇団員が夏休みにとあるバイトをすることになる。それは大学の名物教授が突然提案したもので、火星探査のシュミレーションとして1ヶ月間、他人通しが閉鎖空間で生活を共にした場合どうなるかというもの。この一風も二風も変わったバイトに参加したのは劇団員である男女計7名。期間中は一切外界への出入りは不可とし、外界への情報アクセスも不可。勿論一人でも脱落者が出ればその時点でバイト代どころか、この一ヶ月の<航海>の為に揃えた食料その他備品の代金も返却しなければならないというハイリスクハイリターンなバイトな訳だ。実験の報酬を秋の公演資金に見込み、缶詰状態なのを一月みっちり稽古に集中できるという目論見だった彼らだったが、ある日一人が忽然と失踪する。その末に辿り着く結末とは?

 といった内容なのですが、正直作風があまりにも違ったので驚きました。こんなのも書けるんですね。静月遠火さん。まず、半分過ぎるまで何にも起きません。なので頭の中に「?」がいっぱい浮かびます。何を書きたいのだろうか?と。しばらくすると一人蒸発するのですが、唯一の出入り口である玄関を通った形跡がないのです。何処へ?それよりも何故?どうやって?そうこうしているうちにもう一人消えます。実験の為に閉鎖空間に選らんだ廃屋寸前の屋敷に纏わる不穏な噂。そして前の持ち主が敷地内に埋めたとされる宝の噂。後半はそれこそ前半の何もなかったのを取り戻すが如く事態がめまぐるしく展開して行きます。終わってみるとなんだか色々な仕掛けがしてあったことに気がつくという感じでしょうか。何人か男女の性別を意図的に見誤らせたりしている為、恋愛感情の見せ方も読んでいる途中と終わりでは感じ方が全く異なるという。兎にも角にも想定外だった内容でした。まだまだ引き出しがありそうな方なので、次回作も期待といったところでしょうか。

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