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2013.11.09

サカサマのパテマ

 舞台挨拶付の上映をヒューマントラストシネマ渋谷にて観てきました。決して大きい劇場ではないのですが、売店のホットドックは非常に美味しかったのを特筆しておきましょう(カリカリのフランスパンをくり抜いて特製ソースとパリパリの粗挽きソーセージが差し込んであるので食べやすい!)。

 舞台挨拶の登壇者は藤井ゆきよ、岡本信彦、吉浦康裕監督の3人。上映前だったのですが、物怖じせず語るべきところをしっかりと語り、ユーモアもある監督さんで今まで見てきた舞台あいさつの中でもかなり良い舞台あいさつでした。印象に残ったエピソードとしては、役者は声のイメージに合う方を特に意識して選んだというもの。作品上男女が抱きつかなければならない為そこは自然にという事を意識されていて、特に「カッコイイの禁止令」なるものが発令されていたらしく、ごく自然の14歳(子供以上大人未満)というのに拘った様に感じられました。
 また、相互にサカサマを描くことからパンフレットも意識した作りになっているとか、楽曲もパテマのテーマを逆さまにしたものがエイジのテーマになっているなど、くすぐり所を突いてくる上手いトーク運びでした。
 その他何がよかったかというと、上映前なのでこれから観る人達に対して興味をそそる語りが出来ていたという事です。後は司会のお姉さんが非常にハキハキしていて好印象でした。
 ちなみにこの舞台挨拶が終わると同時に女性達が一斉に20人程退出しました。恐らく岡本信彦さんの追っかけであると思われ、舞台挨拶のハシゴをしている方達だと思われるのですが・・・。初日舞台挨拶、満席だったのが、上映前に1/3程が退出。こんなに失礼なことは無いと思うのですが。

 さて、物語を簡単に説明すると昔、重力をエネルギーに変える実験を行った結果、モノ、人、問わず重力が逆転してしまい、多くの命が空へ投げ出されました。それから何十年?何百年?後の世界なのかは分かりませんが、その事故から免れた人々がコミュニティーを形成し、重力が反転した人々を罪人と蔑む教育を施し繁栄していました。そのコミュニティーをアイガといいます。
 その正に裏である地下にアイガの人々とは逆の重力の人々が生活し続けてきました。
 ある日、アイガの青年(エイジ)が星空を眺めていたところへ空へ「落ち」そうになっている少女(パテマ)と出会い物語が始まります。
 その後パテマはアイガの領主に捕まってしまい、エイジはサカサマ人(アイガの呼び方)と共にパテマ救出に向かうのですが、ひと悶着ふた悶着あり、大スペクタクルが展開されます。そして解き明かされる真実とは!?

 この作品の最大の見どころは視点が180度変わるだけで反転する安堵と恐怖の感覚でしょうか。想像してみて下さい。風船の様に逆さまに浮かんでいる少女の手を掴んで大地に立ている図を。それを180度反転するだけで見渡す限りの奈落の底。手がかりは繋ぎとめている腕一本。
 この作品はそんな安堵と恐怖の入れ替えを、視点を切り替えて何度となく行います。特にその恐怖を感じる事ができるのはエイジとパテマの立場が逆転するシーンです。エイジ自身もその時にパテマの恐怖を身を以て体験し気が付く訳ですが、パテマがどれだけ気丈に振舞っていたかが改めて感じられるシーンでもあります。

 ジュブナイル。大好物です!ボーイミーツガール。大大好物です!!更に閉鎖世界モノの要素も含んでおり、私にとっての大好物な作品であるはずなのですが、何故かワクワク感が足らないと思ってしまったのは何故なのか?
 物語の進行的にはなんら不可思議な部分は無いのですが、パテマとエイジの関係性がモヤモヤしている要因の1つなのかな?と。出会って翌日には攫われますからねぇ。大切に思っている空を星空を「綺麗」という感覚で共有した初めての人物である。だから住んでいた世界に帰すと約束する。しかしパテマが感じている空への恐怖をその時点でのエイジは本当の意味で理解していない訳です。
 一方パテマはというと思い人の死の事実を突き付けられ正に籠の鳥となった所へ救出に来るエイジ。(これで恋に落ちないわけはない。)映像的には互いに想い合っている様に見えるが、この時点でもまだエイジはパテマの恐怖を理解しきっていません。その後空へ二人で落ちて行くことになるのですが、そこを経てやっと二人の気持ちが一つになります。ん~。物語を追っていくと二人の思いが積み重なっていく過程がしっかりと描かれているんですよね。しかし気持ちが付いて行かない感覚。何なんでしょうね?
 それと、自分の暮らしている世界が閉鎖空間であることを住人達自身が気が付いていない(それだけの年月を経た為に忘れ去られた、並びにそういった情報操作がされてきた)作品という意味では、私の中ではメガゾーン23という作品が最も最初に衝撃をもたらした作品で、今回のサカサマのパテマもそれに劣らない規模の衝撃的な内容であるはずなのですが、どうにもピンと来ない。この部分については現象を理解するのに精一杯になってしまう部分があり、観る側に理解と想像を膨らませるだけの溜めというか間が映像に無かったように思えます。

 そんな訳で視点がただ180度変わることで価値観がまるで変わってしまう発想は非常に魅力的であると思える作品でしたが、話自体にトキメキを感じられなかったのは残念でした。これが作品の内容によるものなのか、私のメンタル的なモノだったのかは分かりませんが。

 こういったオリジナルの作品が劇場作品として作られるのは大いに歓迎で、もっともっと作る側にも、見る側にも敷居が下がっていくと良いなと思います。

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