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2014.04.17

魔法使いのハーブティー

 母親が亡くなって、親戚中をたらい回しにされていた勇希(14)。名前こそ男の子のようだが大きなつり目にコンプレックスを持っている可愛らしい女の子がこの物語の主人公です。導入部は夏休みの間中田舎に帰るのであなたは連れて行けないから神奈川の伯父に面倒を見てもらいなさい。と、伯父が断っているにもかかわらず強制的追い出され、一人やってきた勇希が訪れたのは古めかしい洋館風の喫茶店。そこに居たのは聞いていた伯父の容姿とはかけ離れたふにゃりと笑う優しげな男性だった。
 勇希が置いてもらえる条件が三つ提示されます。一つは節制。一つは店の手伝いをすること。そして魔法使いの修業をすること。
 問題事が次から次へと押し寄せるがその度に相手に適したマスターのハーブティーと、マスターの人柄とも言える話術(魔法?)で解決して行き、友達(理解者、協力者)を増やしていきます。

 見どころはやはり相手の状況を瞬時に察して適切なハーブティーを調合するマスターの眼力とどんなに気が立った相手でも決して微笑みを絶やさない優しい対応とペースをこちらへ持ってきてしまう話術でしょう。そして問題の本質を見抜いて踏み込む大胆さ。
 読み手も相手の理不尽な苛立ちに正に売り言葉に買い言葉で気が立つシーンがいくつもあるのですが、その度にマスターのふにゃりとした雰囲気に気を静まされるので、相手の気が静まるのも体感として実感できるのです。

 物語が大きく動くのが「本当の伯父」が勇希を連れ去ってからです。突然降って湧いた遺産相続で今までたらい回しにしてきた勇希の奪い合いが始まります。この一件で勇希が本当に望むことに気が付き、自ら道を切り開き始めます。
 この時に想像していたのはこれまで友達となった人々が最大のピンチに駆けつけるというシーンだったのですが、その期待は大いに裏切られましたwそれはもう見事なほどにwまさかそれらの駒がピンチを救う方ではなく門出を祝う方に配置されていたとは。それもそのはず。勇希自らが自らの道を切り開く力(魔法)を得ていたのですから。

 ハーブの知識はないまでも、紅茶が趣味な事もあって(だからこの本を手に取ったという経緯もあるのですが)お茶の知識はそこそこあったこともあり、更には魔法好きという事も手伝って大変楽しく読めました。
 有間 カオル氏の作品は「太陽のあくび」以来でしたが、著者名を見て太陽のあくびの人だとわかった事が驚きで、メディアワークース文庫を読み始めるきっかけでもあった訳ですが、それ以前に太陽のあくびという作品自体何か残ったのだなと思ったエピソードでした。

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